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ニットリビアの庭

ニットリビアの庭 バックナンバー


当サイトに掲載中の「ニットリビアの庭」バックナンバーです。

【ご注意】
本コーナーは、当店店長が繊維や衣類にまつわる事柄について連載しておりますが、当方は繊維製品品質管理士等の有資格者ではございません。また、本コーナーの内容に誤り及び見解の不一致が存在している可能性がございます。したがって、本コーナーの学術的な目的でのご利用は、ご遠慮くださいますよう、お願い申し上げます。
なお、内容の誤り等お気づきの点がございましたら、当店店長宛のメールもしくは各ページのコメントをご利用くださいますよう、重ねてお願い申し上げます。


【第1章 ニットについて】
第1回 素朴な質問だけど、ニットって何?
第2回 ニットの編み地にはどんなものがあるの?
第3回 編み機と編み針って何?
第4回 なぜ編み機でニットが出来る?

【第2章 素材について】
第5回 繊維に使われる素材には何があるの?
2-1 天然素材
第6回 衣服で使われる毛ってどんなもの?
第7回 羊毛にはどんな特徴があるの?
第8回 綿ってどんな特徴があるの?
第9回 麻ってどんな特徴があるの?
第10回 絹ってどんな特徴があるの?
2-2 人工素材
第11回 人工的に作られる繊維ってどんなもの?
第12回 レーヨンってどんな特徴があるの?
第13回 アセテートってどんな特徴があるの?
第14回 ナイロンってどんな特徴があるの?
第15回 ポリエステルってどんな特徴があるの?
第16回 アクリルってどんな特徴があるの?
第17回 合成繊維には他に何があるの?

【第3章 繊維の加工について】
3-1 糸の加工
第18回 糸はどのようにして作られる?
第19回 繊維や糸の太さはどう表されるの?
第20回 紡績ってどんなことをするの?
第21回 糸にはどんな加工が施されるの?
3-2 生地の加工
第24回 繊維にどうやって色を付けるの?
第25回 染料にはどんなものがあるの?
第26回 染料以外に染色で使われるものには何があるの?
第27回 プリント染色で使われるものには何があるの?
第28回 染色に使用する機械には何があるの?その1
第29回 染色に使用する機械には何があるの?その2
第30回 生地はどのようにつくり出されるの?準備編
第31回 生地はどのようにつくり出されるの?仕上げ編
第32回 生地の特殊加工にはどんなものがあるの?

【第4章 衣類の製造ついて】
4-1 衣類の設計と製造準備
第33回 衣類のデザインって何?
第34回 衣類に求められる性能にはどんなものがあるの?
第35回 衣類はどうやって形づくられるの?
第36回 衣類のサイズはどうやって決められるの? UPDATE!
第37回 パターンはどのようにして作られるの?
第38回 衣類の生産に使われるCADとCAMって何のこと?
第39回 縫製仕様書って何のこと?
4-2 衣類の製造・裁断篇
第40回 衣類の作り方はどのように決められるの?
第41回 生地はどのように切り分けられるの?その1
第42回 生地はどのように切り分けられるの?その2
第43回 芯地と裏地にはどんな役割があるの?
4-3 衣類の製造・縫製篇
第44回 縫製ってどんなことをするの?
第45回 ミシンにはどのようなものがあるの? 家庭用ミシンと工業用ミシン
第46回 工業用のミシンにはどんなものがあるの? 縫い目のスタイル篇
第47回 工業用のミシンにはどんなものがあるの? 縫い継ぎのスタイル篇
第48回 生地を送るミシンの装置にはどんなものがあるの?
第49回 縫い針にはどんな種類があるの?
第50回 縫い方にはどんなものがあるの?
第51回 仕上げ工程とアイロンって何? NEW!

【番外編・織物とニット】
第22回 織物ってどんな織り方があるの?
第23回 織物と編物ではどんな違いがあるの?

  • 2018.12.26
  • 10:54

第51回・仕上げ工程とアイロンって何?


今回は、縫い工程を経て作り出された衣類を仕上げる工程、つまり衣類づくりの締め括りの工程についてご紹介したいと思います。

仕上げ工程とは、衣類をより美しく機能的に訴求できるように整える工程で、主としてアイロンプレス機が使われます。アイロンもプレス機も熱とスチームが用いられますが、これは衣類を構成する繊維には熱によって変形しやすくする性質があるためです。その性質は水分と圧力によって高められ、さらに水分には、熱をより広範囲に拡散させる作用も備えています。こうした原理を利用して、折り目を付けるべき箇所に折り目を付け、余分なシワをきれいに伸ばしながら衣類の形を整え、最後に冷却させて衣類の形状を固定させていくのです。
衣類の仕上げやシワを伸ばす器具としてよく利用されるアイロンですが、その習慣は1000年以上前からあり、中国においては「火熨」とも「熨斗」とも呼ばれていました。「火熨斗」として伝来した我が国では、この字に伸ばすという意味の「のし」が当てられ、これがお祝い事に使われるのし袋へと転じているようです。
近世においては中に熱した木炭を入れて使用する炭火アイロンが使われましたが、西洋では生地を焦がしたり火の粉が飛び散ったりする問題を回避するために、アイロン専用のストーブも用いられていたそうです。その後時が流れて、現在の電熱式のアイロンへと移り変わりました。

こうして形状を整えて仕上げた衣類は、ブランドや使用素材などの下げ札を付け、シャツや肌着などは折り畳んで出来上がります。外観や寸法、それに汚れやキズなどがないか検査され、最後に縫い針などの金属類が紛れ込んでいないか検針機を用いてチェックされます。
量産で使われる検針機としてはベルトコンベヤー式が主流ですが、検針する方向と平行に針が紛れ込む可能性も考慮して、タテ・ヨコ方向に検針機を通すことでそのリスクを回避させています。コンベアー式で針混入の疑いがあるなどより厳格にチェックを必要とする場合には、ハンディタイプの検針機を用いることもあります。こうすることで、針混入による事故を未然に予防しているのです。
かくして出来上がった衣類が最終的に店頭に並べられ、我々消費者の手に行き渡るのです。

ここまで長い間、素材となる繊維から衣類が出来上がるまでの工程を紹介してまいりました。糸にする紡績工程に始まり、編み・織り工程で生地が生み出され、染色工程で色付けされ、そして生地の裁断・縫い工程を経て衣類が作り出されていくのです。それだけではなく、世の中の需給状況に応じて、どんな衣類をいつまでにどれだけ作るべきか、そしてそのためにどんな設備が必要かも考えて生産しなければなりません。衣類づくりには、それだけ非常に多くの手間と資源を費やしているのです。海外から輸入される低価格の衣類が幅を利かせて久しいですが、膨大な作業工程を考慮すれば、やはり衣類にもある程度の付加価値が付けられて然るべきだと思います、との言葉でもって、衣類の生産篇を締め括らせていただきます。

第50回・縫い方にはどんなものがあるの?


前回まではミシンの種類とその機構についてお話ししてまいりましたが、今回は縫製工程で用いられる縫い方についてご紹介致します。

ミシンの種類と分類(第45回第46回)でも折に触れていくつか紹介しましたが、これら以外にも数多くの縫い方があります。個々の縫い方とその説明についてはJIS L 0122規格「縫製用語」にて定義されていますが、あまりにも多岐に及ぶため、ここでは前回まで紹介されなかった縫い方を中心に、弊社でよく使うものをいくつかご紹介致します。

飾り縫い 装飾を主な目的とした縫い方、もしくは生地の表に出る縫い目の線が飾りとして用いられる縫い方。
ピコット 生地の縁を環状もしくはギザギザ状に飾る縫い方。
コバステッチ 生地の折り端を飾り縫いするための縫い方。
伸び止め縫い 生地の伸びを止めるために縫うこと。
パイピング 生地の縁に、別布をパイプ状に縫い付けること。芯(コード)を入れる場合もあります。
伏せ縫い 縫い代の押さえとほつれ止めとを兼ねた縫い方の1つです。特に袖口に用いる場合は、口伏せと呼ばれます。
巻き縫い 生地の端を少し折り返し、内側に巻き込むように縫うこと。ラッパ(巻き縫いしやすいようにするための器具)を使用することがあります。
すそ引き 生地の端を折り曲げて、縁縫いミシンなどで裾を始末すること。
まつり(縫い) 生地の端近くに織り糸 1 本をすくうように、表に糸をほとんど出さなようにする縫い方。縫い方や縫い目の形状によってさまざまな表現があります。
シャーリング 一定の間隔をおいて 2 本以上の縫い目で生地を縫い縮めることで、不規則な波形のひだを作る縫い方。
ギャザー 生地を細かく集めながら縫い縮めた状態のこと。
ピンタック 生地の折り山の際を縫い付けた細かい直線状のひだ。
しつけ(縫い) 2 枚の布を間隔をもたせて仮に縫い付けること。
せっぱ(止め) ジャケットの袖など、実際には開けられないのにあたかも開けられるように見せかける部分。これを作るには、2枚の生地をを間隔をもたせて縫い止めます。
閂(かんぬき)止め 縫い目がほどけやすい部分などを補強するために、縫い目を閂のように止める縫い方。
穴かがり ボタンホール(穴)の周囲がほつれないように縁を処理する縫い方。
根巻き ボタンを付ける際、糸足(ボタンと生地とを縫い付ける糸)に糸を巻き付けることでボタンを浮かす縫い方。
プレス スチームや電熱などを利用して、アイロン等で生地に適度な圧力を加えることにより、生地を折り曲げたり、伸縮させたり、芯地を接着したりする仕上げ方。

以上、ほんの一部だけかいつまんでご紹介致しました。他にどんな縫い方があるか知りたい方は、こちらをご覧いただければ幸いです。

次回は、衣類の仕上げ工程についてもう少しつっこんでご紹介致します。


第49回・縫い針にはどんな種類があるの?


第45回からミシン、特に工業用ミシンについていろいろとお話ししてまいりましたが、今回は、手縫い・ミシン関係なく、縫い工程に絶対不可欠なに焦点を当ててまいりたいと思います。

当たり前の話ですが、接着や溶接などの特殊な例を除いて、針がなければ縫うことができません。縫い工程は、生地などを縫い合わせるための縫い糸を針に開けられた穴(これを糸穴と呼びます)に通し、その針を生地に刺しながら縫い糸を通していくことで、生地同士や生地と資材を縫い合わせることができます(もっとも刺繍のように装飾として生地に縫い付ける例もありますが)。こうした縫い工程のために使われる針を縫い針と呼び、主として手縫い用とミシン用とに大別されます。
手縫い用の針は、安全に糸通しできるように、糸穴が柄(え)、つまり針の先端と反対側にあります。なお実際の手縫いには、生地を仮留めしたり縫い工程の目印にしたりする目的で、柄に球などの目立ちやすいマークを付けたまち針を使うことがあります。一方ミシン用の縫い針には、安全かつ容易に取り付けられ、なおかつ安定して動作できるようにするため、側面に溝が刻まれ、糸穴は先端近くに開けられています。

ところで縫い針の先端は、注射針のように先が鋭く尖っているわけではなく、ボールペンのごとくわずかに丸みを帯びています。これは、注射針が薬液の注入や血液採取のために皮膚などを突き刺して奥に入り込めるようになっているのに対して、縫い針は生地を構成する糸と糸との隙間に入り込むためであり、このような先端の針をボールポイント針と呼びます。また先端が注射針のように尖っていると、生地を構成する糸を切断して地糸切れと呼ばれる針穴の原因になってしまうため、特にニット生地をミシンで縫製する場合にはボールポイント針が適しているといえます。このボールポイント針には、縫い合わせる生地に応じて丸みの異なる種類がいくつかあります。
縫い針は、生地を構成する糸の太さや性質に応じてさまざまな太さがあり、これを針番手と呼びます。通常はできるだけ細い針を使いますが、特にミシン針では、生地の目が詰まっていたり生地が分厚かったりなどすると、最悪の場合針が折れるおそれもあるため、より太い針の使用が推奨されます。なおミシン針には、針の強度を高めるために、太さを2段階にしたものもあります。
また、長く使い続けると、摩擦によって針が摩耗したり針が熱くなったりします。針が熱くなると、特に合成繊維の場合は熱で糸が溶けることもあるため、表面に薄く潤滑油を塗ったり回転速度を緩めたりするなど、摩擦や熱を緩和させることも重要です。そして、金属疲労による劣化で針が曲がったり折れたりすることもあるので、針混入などの重大事故を予防するためにも、一定の周期で針を交換することが大切です

ここまで数回にわたって、ミシンについていろいろとお話ししてまいりました。
次回からは、縫製工程で用いるいろいろな縫い方についてお話ししていきたいと思います。


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